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しおじのブログ

渋谷のベンチャーで経営企画担当 → マニラで人事(みたいなこと)

海外で異文化をマネジメントする難しさと楽しさ(その2) → 【書評】『異文化理解力 - 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 』

 

 「その2」はこちらの本

 

異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

 

 

※「その1」はこちら

 海外で異文化をマネジメントする難しさと楽しさ(その1) → 【書評】『日本人が海外で最高の仕事をする方法――スキルよりも大切なもの 』

 

さて、こちらの本、もともとはINSEADというフランスのビジネススクールの教授である、エリン・メイヤーさんが書かれた "THE CULTURE MAP"の翻訳版です。

 

前段

本書の紹介をする前に少し前段を・・。

この9月まで、大学院ではこちらのとてもタイムリーなクラスを受けていました。

 

mba.globis.ac.jp

 

海外に行くタイミングに合わせたので、タイムリーにしただけなのですが、このクラスはとても学びが多いものになりました。

 

・性別・国籍などへのステレオタイプにどう対処するか?

・ダイバーシティとインクルージョン

・ダイバーシティなんて本当にできるの?

といったようなテーマについて考えます。

 

海外に出ると、日本人との違いがとても目につきます。

その違いに対処する際、どのような心構えで立ち向かい組織を変革していくべきかについて指針のようなものをもらえたのがこのクラスでの学びでした。

 

ある面では「自分はこのままで良い」と思い、ある面では「自分はここを変えなければいけない」と思う。

 

今の自分にタイムリーだったため、とても学びが大きなものでした。

またどこかの機会でまとめてみようかと思います。

 

書評

さて、本題。

 

近年、海外で働いたり、海外の人が日本で働いたりすることが定着したからか、「ビジネスでの異文化理解」というテーマがより重要度を増しているように感じます。

 

実は、異文化理解が必要になったということは、インターネットのテレビ会議システムが増えたことと関連があるようです。

 

本書の中にで「なるほど」と思った記述がこれ↓

==

この傾向は特に、日々電話やメールといったバーチャルメディアで外国とコミュニケーションをとっている人であればあるほど当てはまる。長い期間外国で暮らしたり、仕事をしたり、旅行をしていれば、現地の人々の文化を理解する文脈的手がかりを見いだせるようになり、それによってコミュニケーションをうまく読み取って順応できるようになる。反対に、暮らしたことのない外国の相手とメールでやり取りをしていると、コミュニケーションに影響を与えている文化の機微をずいぶんと見逃しやすくなってしまう。

==

(補足:「この傾向」とは、国をまたいでビジネスを行うマネージャーたちの大部分は、文化が彼らの仕事に与える影響をほとんど理解していない、傾向)

 

SkypeとかGoogleハングアウトなどのWebツールで会議をするじゃないですか。

 

そうすると、face to faceでないから話が伝わりづらいということ以外に、外国にいるわけではないので、ついその外国の背景を忘れてしまい、うまくコミュニケーションが取れないということが起こりうる。

(そもそもその国の人とあまり話したことがなかったりすると、どういう物の考え方をするのかよくわからず、それを「自分の英語が伝わっていない」などとすり替えたりする)

 

つまり、インターネットの登場によって世界が身近になるにつれ、ビジネスにおいては異文化理解の力の重要性が増しているということがわかります。

 

個人的にも言われて( ゚д゚)ハッ!と気づきましたが、たしかにそうです。ずっとネットの先と会話をしているだけだとどうしてもリアリティが失われます。その先に自分と同じ人間がいるにもかかわらずです。

 

そんなわけで、この本は多国籍の人たちをまとめるような仕事をしている人たち、とくに二カ国ではなくそれ以上の出身者をまとめるような仕事をしている人におすすめです。

 

以下、自分が気になったポイントを抜粋します。

(※ === 内で囲んだ部分はすべて本書からの引用です。)

 

 

そもそも異文化を理解する必要がなぜあるのか?

 ==

私たちはみんな同じで、みんな違う

==

これが、文化を理解するに当たって重要な考え方なのだが、これは実は結構やっかいで、みな同じならみな違うわけはなく、みな違うならみな同じわけはない。

つまり、やや矛盾したことを言っているように見える。

 

これはどう理解するべきか? 

 

私たちは同じ部分があり、一人ひとりが違う部分があるということで、その間にはゾーンがあり、それが文化的側面により影響されている、と。

 

f:id:hishionoya:20150929220239p:plain

 

おそらく、こういうことだろう。

 

本書ではこのように解説されている。

==

人間は基本的にみんな同じだ。深いレベルでは、どこの出身であろうと、人間は共通の生理学的・心理学的欲求や動機に突き動かされている。緊張したり喜んだりするときは、誰もが鼓動が早くなる。憂鬱だったり落ち込んだりするときは、誰もが無気力になり疲労を感じる。誰もが嫉妬や、興奮や、悲しみや、情熱といった共通の感情を抱く。深いところでは、私たちはみんな同じ種族である。その意味で、どのような文化出身であっても、人はみんな同じである。  そして、そう、人はみんな違う。同じコミュニティで、同じ両親のもとに育てられ、同じ環境で働いたとしても、まったく同じ人間はひとりとして存在しない。私たちはそれぞれ独自のスタイルや好み、関心、嫌いなもの、そして価値観を持っている。  だから誰と働いていようが、どこの人間と働いていようが、あなたは相手にしかない特別なものを理解しようという気持ちでどんな関係も始めるべきだ。彼らの文化的背景から、相手の思考や行動の特徴を決めつけてはならない。

==

 

私たちは、えてして「○○人は××だ」という決め付けをしてしまいがち。

そういった決めつけ、ステレオタイプは避けなければいけない。

 

実際、自分は完全に典型的な日本人ではないし、インターネット業界の影響を強く受けているので、典型的な日本人よりもストレートに言われたいと思っている。

同時に、本書に書かれている日本人としての特徴も持ち合わせている。

 

やはり、○○人だからといった決めつけはよくないが、だからといってその人たちの文化的な特徴を知らなくても良いことにならないということではないかと思う。

 

8つの指標

 本書では、異文化の人と一緒に仕事をするとき、とくに上司や部下・同僚に異文化の人を持つときに起こりうる問題を8つの観点から解説している。

その8つの観点は2つの両極端な考え方を対立させる形で進むが、実際は全ての文化はどこかのポジションにつくことになる。

 

1:コミュニケーション →ローコンテクストvsハイコンテクスト

2:評価        →直接的なネガティブ・フィードバックvs間接的なネガティブ・フィードバック
3:説得        →原理優先vs応用優先
4:リード       →平等主義vs階層主義
5:決断        →合意志向vsトップダウン式
6:信頼        →タスクベースvs関係ベース
7:見解の相違     →対立型vs対立回避型  
8:スケジューリング  →直線的な時間vs柔軟な時間

 

パッと見ただけではイメージがつかないものあるけれども、こういった事項について各国の相対的な位置とどう振る舞うべきかが書かれている。

 

訳者コメント

最後に、訳者からのコメントで最も印象に残った言葉がコレ。

==

グローバル環境において「気が利く」ということはつまり、「相手と自分の文化の違いを理解して、みなが心地よく良いパフォーマンスを出せる環境を作り出す」ことなのだ。

==

 

「心地よくパフォーマンスを出せる」というのは意外と深い話かと。

みんなが頑張りたいと思い、どう頑張ればいいかわかり、それが適切に評価されフィードバックされることで、成長でき、自分が所属している組織に愛着を持ることができる。

 

こういったことが上記のコメントに集約されているように感じました。

そしてそれは今やグローバルな環境だけではなく、日本の中においても世代・性別・環境の違いなどによって考え方が均一でなくなった今、必要になってきている考え方なのだと思っています。

 

一応、この「海外で異文化をマネジメントする難しさと楽しさ」はその2で終わりのつもりですが、ひょっとしたら書きたいことが生まれて「その3」ができるかもしれません。

 

それでは。