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オンボーディング(onboarding)の重要性と私がやったこと

 

フィリピンに来て学んだことの1つが「オンボーディング」の重要性です。

「オンボーディング」とは、「企業に入社した人が戦力化するまでに必要なことすべて」のことです。

 

「オンボーディング」は、新人研修と思われがちですが、新人研修はオンボーディングの中の1つです。研修・目標設定・サポート体制などを包含する概念です。日本では、そういったことを「設計する」という概念がなさそうに感じます。

フィリピンでは、新しく入った従業員を一人前にさせるプロセスを作り込む傾向にあるように感じます。

 

今回はオンボーディングの重要性とそれをどのように設計するべきかについて私が学んだことをシェアしてみたいと思います。

 

 「オンボーディング」がなぜ重要か?

 

フィリピンでは、コールセンター業界など労働集約型産業が多く存在しています。そうった業界では、人材を大量に採用して戦力化させる必要があります。

また、日本と比べても人材の流動性が極めて激しく、入社1日で辞めるといったようなこともざらに存在しています。

 

そうした状況の中で、1:採用した人材を早期に戦力化し、また2:退職を防ぐかを考えた際に「オンボーディング」をどう設計するかは極めて重要な人材戦略であると考えます。

 

仮に従業員が直接顧客と対峙するような産業(≒サービス業)では、入社してすぐの人のサービスクオリティがそのサービスやプロダクトのユーザー体験を決めることになります。

なぜなら、入社してすぐの人はまだ業務に慣れていないため、サービスクオリティが経験者よりも低くなりがちだからです。

そのため、早期戦力化はユーザー体験にダイレクトに直結する課題になります。

 

2:退職について、従業員の退職がどれくらい会社にとってどれくらいインパクトが大きいかは業種によって異なると思います。

ただ、「採用難易度が高い」・「研修コストがかなりかかる」ケースの場合、従業員の退職は企業に与える影響が大きいはずです。

 

少し違う視点ですが、従業員もまた顧客であると考えると、従業員はサブスクリプションモデルで課金している人と考えられます。(実際にはお金は払っていませんが、時間をかけていると考えればあながち間違っていないはず)

そう考えると、退職は従業員における解約と近いと考えられます。チャーンレートを下げるための施策としてオンボーディングを使うべきです。

 

 

 

それでは、どのようにオンボーディングを設計するべきかを考えてみたいと思います。

 

 

オンボーディングを設計する

1:オンボーディングの目的とゴールを作る

まず、オンボーディングをなぜやるのかを考える必要があります。

私の場合は3点あり、

1:スタッフの早期戦力化

2:スタッフ間のアウトプットのばらつきをなくすこと

3:早期離職を防ぐこと

でした。大きく違うゴールを設計することはそこまで多くないのではないかと思います。

 

ゴールが決まったら、それをブレイクダウンしてKPIを決めていきます。

たとえば、

戦力化では「入社すぐのスタッフのパフォーマンスが○○以上にする」ということ、

早期離職を防ぐという点では「入社6か月時点の離職率を○%未満にする」といったようなことが考えられます。

 

 

2:施策の設計

続いて、そのゴールにつなげるための施策を設計します。

私の場合、オンボーディングでは主に3点ほど考えました。

・新人に求める業務を定義する

・研修プログラムの期間と内容を決める

・サポート体制を考える

 

「業務の定義」は、新人に最初にさせること・その次にさせることを考えます。

新人が一人前になるために必要なステップを考慮して決めていきます。

私の場合は、顧客に1人で直接対面するため、最初からほぼフルスペックで求めました。その場合、研修期間はより長めになっています。

 

研修プログラムでは、2つ伝えるべきことがあります。

1:サービスを提供するにおいてどういうマインドを持つべきかを伝える

2:どれくらいのレベルのアウトプットが必要化を伝える

 

英語でいうと、”expectation"といいますが、どういうことを求めるかという期待値を伝えることが重要です。

一番最初にマインドやサービスレベルのイメージを伝えておかないとあとから修正するのは難しいと思います。そのため、どういうマインドで何をするべきかをきちんと伝えることはオンボーディングにおける肝だと思います。

 

このあたりの概念を学んだのはこの本からでした。

 

ディズニーの現場力

ディズニーの現場力

 

 

最後に、サポート体制が必要です。

研修が終わって仕事をし始めたらOKということではありません。

なにかしら壁にぶちあたったときにサポートする人がいないと、壁にぶちあたったままになってしまいます。最悪のケースでは退職につながりかねません。

そのため、「メンターをつける」「定期的に面談をする」などの方法を使ってサポートをする必要があります。

 

私のケースでは、入社人数が極めて大規模になるため、サポートを専任で担当する専任者をつけました。

さすがにそこまでやる必要性はないかもしれませんが、育成も重要な業務と捉えて既存のメンバーの時間を一定程度割くことは必須です。

しかし、一定程度というのは難しいものです。本来のタスクと平行になるとなかなか時間が割けなかったり、時間を割いても評価されづらかったりするものです。

その場合、いっそのことサポート自体をその人のメイン業務に据えるということも考えてもいいかもしれません。

 

また、メンターは単なるサポート役だけではなく、研修で伝えた「期待値」をメンバーに何度も伝える役目も持っています。

研修で一度だけ伝えても定着はしません。サポート役が繰り返し伝えることで徐々に伝わっていくものです。

 

 

このように、一度入ってきた人を戦力化させるためにはある程度の時間と労力が必要です。そういう人を辞めさせないためにもオンボーディングが必要だと考えています。

  

以上、「オンボーディング」という概念について、私がフィリピンで学んだことを書いてみました。

こういった考え方は、「人手不足」と言われる日本でもより今後必要になるのではないかと思います。なにか参考になることがあれば幸いです。