フィリピンに来て1年半の振り返り
先日、フィリピンに来てちょうど1年半が経過した。
この10月からは少し仕事の内容が変わってしまったのだが、つい先日まで約80名ほどのフィリピン人をマネジメントしていた。
僕がフィリピンで体験したこと・考えたことを書き残しておきたいと思う。
実際、こういう話をする機会が少し増えたので、自分自身へのリマインドとしても書き残しておきたい。
■駐在初期に困ったこと
一般的に駐在は、「立ち上げ」のフェーズになるか、「引継ぎ」のフェーズになるかのどちらかに当たることが多い。
自分の場合は、「引継ぎ」にあたるケースだが、まず駐在初期にぶち当たった壁は
「ずっと英語でレクチャー」であった。
各メンバーが何をやっているのかを説明してくれるのだが、当然(?)自分にわかるようにしゃべってくれるわけではないので、少し説明したらストップして、質問・その質問から別の内容を質問し・・・というように、全く進まない。
しかしあるときに、「なぜその施策をやっているのか?」という質問をしたところ、ポイントを理解しやすくなった。
それは3つの意味があり、
・個別具体的なことを聞くより背景を聞いた方が話がストンと入りやすい。
・やっている仕事の中身ではなく、なぜその仕事が必要なのかを現地のメンバーが考え始めるという教育効果があった。
・本当はその施策をやっている意味がわからなくなっており、惰性になっている施策がわかる。
といったような副次的な効果を得ることができた。
■徐々に明らかになる全体像
施策の全体像が見えないという状況はなかなか大変なものであったのだが、実際はわかってしまった後の方がかなりつらかった。
問題点は山積みだなと思ったのだが、最も問題だなと思ったのは個別最適がすぎることだ。
一つ一つのことは間違っていなさそうだったのだが、全体像とどうしてもつながらなかった。
何がいけないのかな?と考えていて、ぶち当たったのが目標設定の大事さだ。
何で評価されるかに強く反応していたのだ。
フィリピンにおけるHRの観点で大事なことを2つあげるとすると、「採用」と「目標の設計」だ。
「採用」は日本でも重要さは一緒だが、フィリピンにおいても同様に重要だ。
それと同じくらい大事だと思うのが、「目標設計」である。
日本人と比べてフィリピン人の方が目標に対する執着心が強いと感じる。
ただ、逆にどんな手を使ってでも達成しようとしてしまい、逆効果が出てしまうことがある。
架空の一例をあげてみる。
あるマーケティングをする際に、人数だけをKPIに置いていたため、続けて買ってくれるよいお客さんではなく、とにかく人数とだけなってしまうというような例だ。
そのため、目標設定を非常に工夫した。
1つは、求めるレベル感を共有すること。「今この数字に達するのは難しいけれども将来的にはこのレベル感まで行かなければだめ」と明示的に伝えること。
2つは、目標自体を競合させること。たとえば先ほどの例でいうと、量と質の両方を追ってもらうことにする。「量はこれくらいのものをキープしながら、優良顧客率を○%以上にする」のように目標自体を複数持ち、過度に暴走させないようにした。
いままでのやり方では通用しなくなるので、自分で考える。このことも教育効果としてあったと思う。
◼︎とにかく話を聞く
メンバーのみんなととにかく話をすることを重視した。
メンバーの中のリーダー的なメンバーとは必ず1対1で毎月ランチをしたし、それでなくても先ほどの「なんのためにやっているの?」というのを何度も確認した。
実は1人1人はちゃんと考えていて、それが正しいかはともかく、今までのマネジメントが救えてこなかった部分が大きいのだということに気づき、とにかく彼らの問題解決をしようというマインドになっていった。
10月に部署を異動することになったのだが、その際に「あなたは今まで会った中で最高のマネージャーだった」というようなことを言われた。
他にも「○○という施策はやりたかったけどできなかったのでやってくれて感謝している」というようなことを何度か言われた。
なんとも照れ臭かったんだけど、誰も手を突っ込んでこなかったことに突っ込んで来た自負はある。
■英語の悩ましさ
フィリピン人スタッフに強く当たることが増えてきた時期があった。おそらく背景は色々な意味での怒りやストレスだろうと思う。
「なぜそんなに時間がかかるのか?」
とか、
「なぜそう考えるのか?」
といったようなことを聞くときについつい表現が強くなってしまっていた。
説明が終わった後に気づいて、「ごめん」と謝ることが増えた。
(正直今もこの点はそこまで改善できていない・・)
この点については2つあると思っている。
1つは根本的なコミュニケーションの量。
下記の記事を見てなるほど!と思ったのだが、自分の母国語でないときのコミュニケーションは日本でやっているときと比べて3倍必要とのこと。
2つ目は言い方だ。
言ってることは強めでも、なるべくソフトな言い方で伝えるように心がけた。
たとえば、 "Please kindly do something" とかいう感じにすることにしている。
■悩まされる無理解
日本人のフィリピンに対する無理解とフィリピン人の日本に対する無理解を両方感じた。
残念なことに両方の無理解に駐在員が板挟みになることはよくあるようだ。
それぞれにはそれぞれの事情もある。
それをちゃんと理解しろというのは相手の国に住んで生活しない限りは無理だと感じる。
短期滞在では現地のことを理解するのは無理!と思っている。
1年くらい経過したときに言い方を学んだのだが、
「日本人はなぜそうなのか?」
的なことを言われたときに、
「じゃああなたはどうなのか?フィリピンではそれをやるのか?」
と聞き返すことにした。
そうすると、彼らも「まあ色々事情はありそうだな」と感じ、
なんとなくのところに着地してくれる。
結局人間なんで大して変わらないよねという部分もある。
僕は(僕らは)日本人なので、「フィリピン人はわかってない!」となりがちだが実は逆も然りだった。
◼︎バウンダリースパナーとしての役割
自分はバウンダリー・スパナー」を意識している。
バウンダリー・スパナーとは、異なる組織や異なる文化間の間に立つ人のことで、とくに異文化間の通訳のような役割を持つ。
あっちをたてればこっちが立たないという矛盾を突破していくことが求められることも多かったが、そもそもイシューは何かを考え、一つ一つ突破したいくことを学んだような気がする。
これこそがバウンダリースパナーとしての役割なのではないかと思う。
以上とりとめもなく書いてみたが、今回の経験をもとにマネジメント力は上がったのではないかと思う。
ANAのビジネスクラスに乗ったよ(羽田→バンクーバーNH116便)
いきなり正直に言いますと、僕飛行機が大好きなのです。
旅行も好きなのですが、空港・もしくは飛行機そのものが好きだったりします。
乗り物全般が好きなので、電車も好きなのですがどちらかといえば飛行機派です。
そんな僕が10月末に、カナダ→アメリカに行った際、ANAのビジネスクラスに搭乗しました。
簡単な搭乗機を書いてみたいと思います。
行き
羽田発バンクーバー行きのANA116便でした。この便は羽田を21時50分に出発します。
今回はマニラから出発したのですが、マニラ→羽田行きのNH870便に乗ってうまく乗り継ぎができました。
席は8Aでした。
ディスプレイが20インチ以上あってでかーい。
いつもの安全ビデオも大スクリーンで見ると印象が違いますね!
(内容は同じだが・・)
席はガラガラでした・・CAさんによると、平日(この日は水曜日だから)だろうとのこと。
バンクーバー行きってレアですからねぇ。
ちなみに、このCAさんには専属っぽくついていただいて気恥ずかしいやらなんやら・・という感じでした。
お名前は言及しませんが、この場でお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。
窓側の席だったのでこんな感じで787が見えました。
(ロサンゼルス行きかな?)
こういうヘッドフォンをいただきました。持って帰ることも可能だとか。
さて、ご飯です。
和食か洋食か選べるのですが、和食をチョイスしてみました。
主菜。いやー美味しかった。
お酒もいただきました。
左はお酒(焼酎)、右はお水です。美味しかった。
上空でしか見れないきれいな景色。
10月末のバンクーバーは雨期でした。
ちょうど紅葉の季節で、メープルリーフがきれいでした。
空港到着直前。うーん、どんより・・
街並み。雨が降っていることもあってちょっと薄暗い感じでした。
空港から乗ったタクシーの運ちゃんは、「4月から9月がいい季節だからその時期にくるといいよ~」って言ってました。
「それ今言うか」って思いましたね、はい。
このときは「バンクーバーに来て失敗したか?」とか思ってました。。。
バンクーバー中心街に来てとりあえず入ってみた、"Robson Street"のスタバにて。
このときは全然beautifulじゃねーじゃんって思ってたんですけど、このあとbeautifulさがだんだんわかってきます。
港町でした。
紅葉がきれいでした。
こういう道。すごくいいですね。
おじいちゃんになったら、「今日も紅葉がきれいですなぁおばあさん、ほっほっほっ」とか言いながらお散歩したいものです。
相手いないけど。
サーモンのピザ(みたいなの)。美味かった~
ビールもいただきました。
というわけで結果的には大満足でした。
ちなみに、今回はアップグレードで行ったので、ビジネスクラスの運賃は払っていません。
飛行機利用が多いのの恩恵でしょうか。感謝しなければいけませんね。
この「ビジネスクラス利用」。
また行きたい・・癖になってしまいそうです・・。
この後、東に向かいトロントに行くのですが、それは別の機会に書いてみたいと思います。
フィリピンの道とん堀(DOHTONBORI)のUXは日本のお好み焼き店を上回っていると思う
先日、お好み焼きの「道とん堀」に行ってきました。
メトロマニラのSM City North EDSAにある店舗なのですが、大満足でした。
その時の体験とフィリピンのサービスレベルについて書いてみたいと思います。
お店ではタヌキが迎えてくれました。
ディスプレイの芸が細かい。本物の年末ジャンボ宝くじ?の模様。
最も大きな違いは、店員が焼いてくれるところ。
日本のお好み焼き屋だとだいたいセルフサービスで勝手に作ってねーっていうのが多いと思うんだけど、こちらでは作ってくれます。
作ってくれたのは彼。
(ネットに載せる許可得てなかったので顔にはモザイクをかけて、ネームプレートを隠してみた)
(左)お好み焼きと(右)広島風のお好み焼き
お好み焼きソース+マヨネーズでアートまで描いてくれた。葉っぱかな?
これが美味!
焼きそばも作ってくれる。
はい、完成。
これもまた美味い!
というわけで、このレベルのものをこの街で食べられるのか!っていうくらい大満足でした。
実際、彼が作っているところを見ながら、
「もうちょっとお好み焼きの具材を広げてもいいんじゃ~」
とか思ってたのですが、完全に僕の間違い。
ふわふわ具合がよい加減に仕上がっているのです。
へなちょこ日本人(=僕)が作るより断然うまいお好み焼きでした。
彼によると、どうやら1か月の研修とお店にある全メニューを作れるかの試験にパスしないと作らせてもらえないとのこと。
そりゃ美味いわけです。
さらに、UXの観点からすると、「作ってくれる」というのは日本と比べた大きな違いです。
必然的にテーブルにべったり張り付くことになるので、自然と会話が生まれます。
ホスピタリティレベルが高い人たちですからね。
人件費の高い日本だとこうべったりはいきません。
実際、ネットで見る限り日本の道とん堀ではセルフサービスな模様。
僕が日本で行ったことのあるお好み焼き屋もだいたいセルフサービスなので、
仮に同レベルの味を自分で作れたとしても接客を含めたトータル満足度は高くないのです。
トータルのUXは日本の一般的な飲食店を大きく上回るレベルではないかと思いました。
味と接客だけで比較するとこうなるわけで・・
(エクセルで1分で書いた超単純比較表w)
フィリピンのサービスと日本のサービスのUXを比べて、日本が足元にも及ばないという体験ははじめてでした。
今回は道とん堀のことだけでしたが、このことは結構重要なことを示唆しているように感じます。
1:サービス業においては、日本で実現していること同レベルのことは他国でも普通に実現できる
マニラに日本人の方が常駐しておられるようなので、その方を中心にかなり厳しくチェックをされているものと思います。
逆に・・きちんとした教育プログラムやサービスレベルを保つ仕組みが備わっていない企業は淘汰されていくのではないかと思います。
2:日本だから○○ができるという優位性は急速に薄れていく
「おもてなし」に代表される日本のホスピタリティは、他国の経済成長に伴って急速に差が縮まっていく、もしくは逆転されていってしまいそうに感じます。
という、驚きと危機感を感じた1日でした。
どうやらメトロマニラには、グリーンヒルズとSM North Edsaの2店舗らしい。
(あれ?Mall Of Asiaにもあるって言ってたような・・)
お近くの方はぜひ試してみてください。
それでは。
キャリアについて考えた話@シカゴ
先週末、フィリピンでは4連休でした。代休があったこともあり、+ 有給を使って思いきってカナダ→アメリカに飛んできました。
旅程は マニラ→東京→バンクーバー→トロント→シカゴ→東京 を8日間で。
実際は各都市1日半程度で次の場所に行く強行軍でした。
バンクーバー
トロント
で、シカゴに日曜日の夕方に着いたのですが、ほとんど店が閉まってる。。。。
しかも、超寒い。(10度以下くらい?)
しかたないので、1人でボストンビアとフィシュアンドチップスを飲み・食べることにしました。
ボストンビア、久々に飲んだ。
(写真撮り忘れたけど、この日ワールドシリーズでカブスの試合やってた。)
普段の生活から離れたことで、おのずと思考は今後のことを考え始めます。考えること2-3時間。
以下そのとき考えたこと、というか思ったことをつらつらと書いていきます。
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キャリアって積み上げとタグ付けだよね。
とくに積み上げって大事だ。大宮アルディージャも継続性があるから今年は成績が出てるし。
こんなチャントまで出来てるし。
https://twitter.com/minasek/status/793068633777844224
積み上げって大事。
では、自分にはどういう積み上げと、タグが付いているのだろう?
自分にはどういう専門性がついているのだろう?
今やっていることって、自分が本当にやりたいことに向かってるのかな?
これを読みながら・・
http://yokichi.com/2010/05/post-266.html
(引用)
『会社は会社を幸せにする責任しかない。僕たちを幸せにする責任は僕たちにしか無い。』
自分の志に向かって進んでるのか?
やりたいこと、できること、やってほしいことが重なる部分はなんなのだろうか?
どうやら、自分にはキャリア上の軸は存在するけど、積み上げとタグは足りない。
自分で自分のやっていることを説明しづらいし、周りから見たらよくわからないだろう。
これまでのキャリアで、自分がそこまで望んでいないのにやったキャリアチェンジが結構あった。
それにより、よく言えばジェネラリスト、悪く言えば器用貧乏状態に陥った。(よく言ってないか)
偶然降ってきたものを自分のものにしているとも言えるし、コロコロ変わりすぎて専門性を突き詰められていない、とも言える。
グロービス時に作った自分の志が少しだけ変わったかも。
※ちなみに、「私の任務」はこちら
http://shiog.hatenablog.com/entry/2015/03/22/183347
日本人は、日本だとか海外だとか場所関係なく仕事をする人が少ないと思う。
もちろんビザの問題とか家族の問題とか色々あるのだけど、日本に縛られすぎているのではないか。
それって不幸なことではないだろうか。選択肢が増えることは、人生をより豊かにしてくれるのではないか。
日本とそれ以外の国の求人を天秤にかけられる人を増やすようなことをしたいのではないか。
こういう問題意識を持つように、少しだけ方向が変わった気がする。
しかし、それ以上に問題なのは、その方向性に対して、かなり遠回りしているように見えることだろう。
軌道修正してもっとまっすぐに進まないとダメだ。
では、どう軌道修正するか?やりたい分野は定まっているが、そこでどう自分のバリューを発揮できるか?
また、自分がワクワクできる仕事をどう見つけるか、あるいは作るか。
何をどう積み上げていくか。
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実際はもっと具体的に考えてますけど、あまり具体的すぎてしまうのもどうかと思うのでこれくらいにしておきます。
追記
NBAまじ面白かった!
追記2
今回、羽田発バンクーバー行きをエコノミーからビジネスクラスにアップグレードしました。
これも良かったー
ご馳走様でした。
みんなが「逃げられる」わけではないからこそ守ってあげなければ(過労死した新入社員に思うこと)
いてもたってもいられず、久々に記事を更新してみます。
↓の件について。
人が自ら命を絶つような労働環境は絶対に許されないことは言うまでもありません。
「逃げればいい」
そういう人がいます。それは確かに正論です。
この国には「職業選択の自由」があります。「意に反する苦役に服させられない」って日本国憲法にも書いてあります。(ちょっと話が大きいですが・・)
実際に、逃げられる人はたくさんいると思うのです。
でも、みんなができるわけではない、というのが実態だと思います。
本人のツイートを見ると、いわゆる「危険水域」に入っているように見えます。
ある一点を超えると何も考えられなくなり、自分で逃げたいと思っても実際に行動できなくなっている状況になります。
視野狭窄の状況です。
これは僕の仮定ですが、この「危険水域」は人によって広さが異なり、広い人も狭い人もいるのだろうと思います。
また、その人の状況によって広さが変わることがあるのだと思います。
よって、「僕は○時間働いたからお前もやれ!」というのは意味がないことなのだと思います。
こちらでも書きましたが、
発言がいつもとおかしい
基本的なことが守れなくなる
行動が不審になる
などが起き始めたら、危険水域なので周囲が守ってあげなければなりません。
本人は、
・なるべく危険水域に行かないように普段からコントロールする。
・危険水域に行ってしまったら、(できれば)信頼できる人にぽろっと漏らすように言ってみる。
(「相談する」とか頑張らなくてよい。とりあえず漏らしてみる)
周囲は、
・そもそもそういう働き方を是としないこと。
・危険水域に入ってしまったら強制的にでも守ってあげること。
ということが必要だと思います。
もしあなたが悩んでいたら、会社の人ではなく、昔からの友達とかにぽろっと漏らしてみてください。誰かがあなたの助けになってくれる、と思います。
もしあなたの周りで危険水域だなと思う人がいたら、ぜひ守ってあげてください。
手遅れになってからでは遅いので。